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永井 崇之; 長谷川 毅彦*
JAEA-Research 2023-008, 41 Pages, 2023/12
ガラス固化技術開発施設(TVF)では、高レベル放射性廃液の保管に伴うリスクを低減するため、高レベル放射性廃液をガラス固化する作業を進めている。また、TVFにおけるガラス固化を着実に進めるため、ガラス固化技術課は、ガラス溶融炉の構造を改良した新たな3号溶融炉を製作し、この溶融炉の性能を確認する作業を実施している。今回、TVF3号溶融炉の製作における作動確認のドレンアウト試験で流下した模擬ガラス固化体からサンプルを採取し、固化体表層と破断面の性状を評価した。ラマン分光測定、放射光XAFS測定、LA法ICP-AES分析により実規模スケールで製造した固化体の表層と破断面を測定した結果、表層と破断面の性状に若干の差があることを確認した。この固化体サンプルは、白金族元素を含まない模擬廃棄物ガラス組成であるため、実ガラス固化体のガラス構造と異なると予想されるが、実規模スケールの通電加熱・流下方式で製造したサンプルを評価できる貴重な機会となった。また、今回のTVF3号溶融炉の作動確認に供したカレット及び同じ化学組成で別の製造ロットのカレットを対象に、これらカレットの性状を測定分析した結果、化学組成が同等であってもカレット製造履歴が異なるとガラス構造に差が生じることを確認した。さらに、これらガラス構造が異なるカレットを溶融した凝固サンプルを分析した結果、カレットで確認したガラス構造の差が溶融した凝固サンプルに残留することを確認した。
永井 崇之
JAEA-Research 2022-014, 84 Pages, 2023/02
物性評価に供する模擬ガラス固化体試料の多くは、溶融ガラスを室温まで徐冷したガラス塊から測定手法に適した形状に加工しているが、実際のガラス固化体は、溶融炉から流下したガラスをキャニスター内で冷却凝固させる。そこで、溶融状態の模擬廃棄物ガラスを凝固させた表面を深さ方向にラマン分光測定し、凝固表面近傍のSi-O架橋組織の状況を評価した。溶融した模擬廃棄物ガラスカレットを大気下で凝固させたガラス表面近傍のラマンスペクトルは、表面からの深さ方向に対して変化し、スペクトル解析の結果、ガラス凝固表面のSi-O架橋組織は架橋酸素数の少ない構造の割合が高くなる傾向が認められた。一方、原料に用いたガラスカレットやArガス雰囲気で凝固させたガラス表面は深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、ガラス表面近傍のSi-O架橋組織はほぼ同等であった。また、ガラス切断面も深さ方向に対するスペクトル変化は小さく、破損したガラス破断面も深さ方向に対するスペクトルの変化が小さいことを確認した。表面近傍の深さ方向に対するラマンスペクトル変化が大きいガラスは、大気雰囲気のマッフル炉内で溶融状態から室温まで冷却したガラスであり、溶融状態から凝固するまでの時間が長いほど深さ方向に対するスペクトル変化が大きくなると考えられる。ガラス凝固表面でSi-O架橋組織の架橋酸素数が少ない構造の割合が高くなる理由を確認するため、凝固表面と切断面を対象にSiのK吸収端及びCeのL吸収端をXAFS測定した。その結果、凝固表面のSiのK吸収端ピークが切断面のピークより高く、凝固する過程で表面近傍にアルカリ金属酸化物の濃度が高まる可能性が認められた。また、凝固表面と切断面のCeのL吸収端XAFSスペクトルを比較すると、凝固表面近傍のCeが切断面より4価状態にあることを確認した。
中塩 信行; 大杉 武史; 伊勢田 浩克; 藤平 俊夫; 須藤 智之; 石川 譲二; 満田 幹之; 横堀 智彦; 小澤 一茂; 門馬 利行; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(1), p.139 - 145, 2016/01
被引用回数:1 パーセンタイル:10.6(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構における低レベル放射性固体状廃棄物の減容処理の一環として、放射性金属廃棄物の均一化条件を明らかにするために金属溶融設備の試運転を行なった。金属溶融設備の誘導炉を用いて、模擬放射性金属廃棄物と非放射性トレーサーを溶融した。模擬廃棄物が1,550C以上で完全に溶融されれば、化学成分、溶融重量に関わらず、溶融固化体中のトレーサー分布はほぼ均一となることがわかった。
目黒 義弘; 富岡 修; 今井 智紀*; 藤本 成孝*; 中島 幹雄; 吉田 善行; 本多 忠*; 高野 文夫*; 北村 昶*; 和田 隆太郎*; et al.
Proceedings of International Waste Management Symposium 2004 (WM '04) (CD-ROM), 8 Pages, 2004/03
硝酸-TBP錯体を反応剤として含む超臨界二酸化炭素を用いる超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法を、放射性固体廃棄物からのウランの除去に適用した。海砂,焼却灰,アルミナ製多孔質ブロックを母材とする模擬試料及び、実焼却灰試料,実耐火レンガ試料を用いた。模擬試料及び実廃棄物試料からウランを高効率に除去することができた。実廃棄物からの除染効率の方が、模擬試料からのそれよりも小さかった。10gの実焼却灰試料及び37gの実耐火レンガ試料からそれぞれ1g及び37mgのウランを回収した。
室村 忠純; 日夏 幸雄
Journal of Nuclear Materials, 137, p.227 - 235, 1986/00
被引用回数:7 パーセンタイル:62.96(Materials Science, Multidisciplinary)YO-安定化ジルコニアと高レベル模擬廃棄物の反応を、1000~1600C、大気中およびH+He中でしらべた。大気中の反応では、7w/oの廃棄物が螢右型相に固?し、7~20w/oの間では螢右型相と灰重石相が生成する。H+He中では、4w/o以下では螢右型相のみが生成し、4~12w/oでは螢右型相とMoの2相が、12~20w/oでは螢右型相とMoおよび灰チタン石相が生成する。アクチニド、ウレタノイドは螢右型相に固?する。
上薗 裕史; 馬場 恒孝
JAERI-M 84-220, 23 Pages, 1984/12
模擬廃棄物入りガラス固化体の浸出後のガラス表面に残る元素の量と、浸出液中の元素の量との間の関係について検討した。その結果SEM-EDXで測定したガラス表面に残るNaの量と、浸出液中のNaの量との間の実験的関係が得られた。このことからSEM-EDXで測定したガラス表面に残ったNaの量は、浸出の程度を示す目安になると考えられた。また得られた実験式を用いて、ガラス表面に残ったNaの量から、浸出液中に放出されたNaの量を推定することを試みたところ、ベースガラスとベントナイトの混合粉末を埋戻し材として共存させると、浸出を約100倍抑制するという結果を得た。
馬場 恒孝; 木村 英雄; 上薗 裕史; 田代 晋吾
JAERI-M 82-088, 19 Pages, 1982/07
高レベル放射性廃棄物処理処分技術の研究開発を行うに際して必要である各種コールド試験に応じ、模擬廃液組成として3種類の廃液、JW-A、JW-B、JW-Cを決めた。高レベル廃液の組成は、使用済核燃料中に含まれる核分裂生成物(FP)とアクチノイド元素の含有量、廃液発生量、腐食生成物量および再処理工程で混入する化学物質の量等を考慮して推定した。核分裂生成物およびアクチノイド元素の生成量の計算は、日本の発電用軽水炉の一般的な燃焼率、28,000MWD/t・VOおよび33,000MWD/t・VOについて、OCHAINコードを使用して行った。
上薗 裕史; 馬場 恒孝; 妹尾 宗明; 田代 晋吾; 荒木 邦夫; 天野 恕
JAERI-M 9387, 13 Pages, 1981/02
14wt%の模擬廃棄物を含有するホウケイ酸ガラス固化体について、ソックスレー型の抽出器を備えたオートクレーブを使用して、100~280C(64気圧)の温度範囲で浸出試験を行った。ガラス同化体の浸出挙動は浸出温度によって著しく変化し、220C付近を境にして浸出機構に差が認められた。220C以下では、主として拡散と溶解によって浸出が進み、Na、B、Moについては試料の約60%が溶解する時点で、浸出が終了する。NA、B、Moの選択的浸出が進むと、シリカの細目構造も切断され、ガラス表面のSiゲル層も徐々に溶解する。220C以上の温度では、浸出液からの結晶化、ゲル化の進行、ガラス表面の亀裂の進行が見られ、浸出機構が変化する。
永井 崇之; 小林 秀和; 岡本 芳浩; 関 克巳*; 小林 博美*; 本間 将啓*; 畠山 清司*
no journal, ,
溶融ガラスのバブリング操作によってガラス組成の均一化が期待されることから、溶融した模擬廃棄物ガラスへ空気やArガスをバブリングしながら流下し、バブリングによる流下ガラス状態への影響を調査した。その結果、溶融状態の模擬廃棄物ガラスをArガスでバブリングすると、Si-O架橋構造は非架橋酸素数の少ない構造が増え、複数の原子価を取り得るCe等の溶存種が還元されることを確認した。
山中 恵介*; 永井 崇之; 太田 俊明*
no journal, ,
本研究は、立命館大学SRセンターBL-11において、放射性廃棄物のガラス固化プロセスにおける基礎的な知見を得ることを目的として、模擬廃棄物ガラスのホウ素近傍の局所構造解析・評価を行った。
永井 崇之; 小林 秀和; 岡本 芳浩; 関 克巳*; 小林 博美*; 本間 将啓*; 畠山 清司*
no journal, ,
ガラス固化体への廃液充填率を高める可能性を検討するため、廃液充填率や溶融条件等を変えたビーカスケールの流下実験を行った。流下した模擬廃棄物ガラス試料をラマン分光測定で評価した結果、ガラス原料形状やバブリング条件等によりSi-O架橋構造が変化することを確認した。
永井 崇之; 捧 賢一; 猪瀬 毅彦*; 佐藤 誠一*; 畠山 清司*
no journal, ,
P添加ガラス原料に模擬廃液を混合溶融して模擬廃棄物ガラスを作製し、浸出試験による長期化学的安定性を評価した結果、Mo溶出を抑える効果があることを確認した。また、ガラス徐冷時の結晶化挙動等を評価した結果、P添加ガラスの結晶化挙動は現行ガラス組成と同等であることを確認した。